30歳から生活保護生活

躁うつ病の精神障害者の雑記。

生活保護vs最低賃金。どちらが得なのか?

私と生活保護 

私は生活保護を受給して1年が過ぎた。まともな就労をした経験がなく、精神障害者手帳も持っていたため保護の決定は比較的簡単に下りた気がする。

大学で勉強しているときは、まさか私自身が生活保護を受給するようになるとは考えてもいなかった。本当に次のような気持ちだったのかもしれない。

社会的弱者になって、ようやく社会に守られているとか、社会に守ってもらわないと生きていけないこともある、ということを知った。

若い時は、自分社会的弱者になるなんて想像できなかった(想像したくなかったのかもしれない)*1

 

生活保護法

 

 

生活保護日本国憲法25条「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」のいわゆる生存権の理念に基づいている。

詳しく知らない人もいると思うが、問題となった神奈川県小田原市の「保護のしおり」がわかりやすい。

また最新の厚生労働省生活保護の概要が役に立つ。

https://www.mhlw.go.jp/content/12002000/000488808.pdf

  

生活保護の実態

現在(平成31年3月)の生活保護受給者は次のようである。

被保護実人員は2,090,578人となり、対前年同月と比べると、26,234人減少。
被保護世帯は1,636,334世帯となり、対前年同月と比べると、3,446世帯減少。*2

 

また生活保護世帯が増加しているような報道が多いが、実はそうではない。

生活保護受給者数は約214万人。平成27年3月をピークに減少に転じた。
生活保護受給世帯数は約164万世帯。高齢者世帯の増加により、世帯全体は増加しているが、高齢者世帯以外の世帯については減少傾向が続いている。*3

とあり、今も減少傾向である。

ただ、高齢者世帯の伸び率が多いため、医療費(医療扶助)が増加し生活保護費自体は増加傾向にあるのかもしれない。今後注視していく必要がある。

生活保護費負担金(事業費ベース)実績額の推移

https://www.mhlw.go.jp/topics/2018/01/dl/tp0115-s01-01-03.pdf

 

 

生活保護最低賃金

よく最低賃金で働く人よりも豊かに暮らせるのではないかと指摘されるが、その通りだと思っている。以下、単身者に限り都会(東京都大田区)と地方都市(鹿児島県鹿児島市)でざっくり計算してみた。

 

最低賃金

現在(平成30年10月1日)の最低時給は鹿児島の761円であり、全国最高の東京都で985円。それぞれ1日8時間、月20日労働した場合

鹿児島県:121,760円/月(年収:1,461,120円)

東京都23区:157,600円/月(年収:1,891,200円)

 

アルバイト生活者等は国民健康保険*4、住民税*5所得税など*6*7がかかってくるので少し計算してみたい(一人暮らしの水道代を3,000円として、東京都では生活保護者の水道代が無料のため引いてある)。

鹿児島県鹿児島市(所得額811,120円):年収1,461,120円-(県民税51,000円+国民健康保険料97,000円+所得税40,566円+NHK受信料14,545円)=1,258,009円

東京都大田区(所得額1,141,600円):年収1,891,200円-(都民税83,500円+国民健康保険料129,163円+57,080円+NHK受信料14,545円+水道代36,000円)=1,585,457円

 

生活保護費 

一方で30歳で貰える生活保護費を計算してみた。*8

年収としては冬季加算(2,800円x5ヶ月)*9、期末一時扶助費(2級地鹿児島県鹿児島市4,520円、1級地東京都大田区4,970円)*10を足してある。

鹿児島県鹿児島市:102,840円/月(生活扶助71,240円+住宅扶助31,600円、年収:1,252,600円)

東京都23区:131,640円/月(生活扶助77,940円+住宅扶助53,700円、年収:1,598,650円)

 

ただ生活保護受給中であると医療費(医療扶助)もかかりません。また生活保護者は収入があっても15,000円までは全額控除(勤労控除)されるので、月に2度程度働ければ年間18万円の収入アップが見込める。 

 

どちらが豊かに暮らせるのか

計算してみると(計算があっていればだが)、年間に使用できる金額は最低賃金で働いている人も生活保護受給者も変わらない。東京都大田区に関して言えばむしろ高いという結果となった。他にも考慮する項目もあるが、世間の負い目を感じなければ医療費も無料である生活保護の方が金銭面や健康的な不安面は無く、豊かに暮らせる。東京都は更に都営交通の無料乗車券も貰えるし、制度を使い倒すと場所によっては生活保護受給者の方が明らかに豊かに暮らせる。

これは計算方法によって最低賃金生活保護の逆転現象は簡単に起こり*11、よく指摘されている点である。ただ段階的に生活保護費が減らされる現状もあり、生活保護受給者が全国で不服申立ても行われている。*12

 

近年生活保護が削減される一方で最低賃金は3%程度引き上げられてきた。

政府のこれまでの目標は最低賃金を毎年3%程度引き上げ、将来的に全国平均1000円を達成するというものだった。最低賃金は2016年から3年連続で3%程度の引き上げが続き、18年には全国平均で時給874円に。*13

本当に良い施策だと思うし、最低賃金は引続き上げていって欲しい(連動して生活保護削減が止まるのではとも思っている)。 

ただ困っている人が多い世の中であるので、生活保護の需給がもっと簡単に認められる世の中になることを願うばかりである。

最後に話題になったひろゆきさんの生活保護に関するリンクを貼って終わりにする。

www.jprime.jp