最低賃金上がって欲しいし、なぜ上げないといけないのか
ふと次のブログが目に止まった。生活の安定のための最低賃金アップの議論は明らかに論点が間違っているらしい。
本当だろうかと思う?
このブログでは生産性抜きには賃金は語れないとしている。
しかし最低賃金論において、デービッド・アトキンソン氏が次のように語っている。*1
生産性と最低賃金との間には、強い相関関係があります。これは周知の事実です。
この相関が強くなっているのは、これまで、生産性が高くなれば所得水準が上がり、最低賃金も引き上げられてきたからです。
最低賃金の上昇は、生産性向上の結果だった。このように、最低賃金が事後的に決まると考えるのは、最低賃金を労働政策、強いて言えば貧困対策と捉える考え方です。
これまでは、確かに生産性の向上で最低賃金は上昇してきたという歴史がある。
しかし次のようなことが世界では注目されだしているというのだ。
鶏と卵のような話で、どちらが先という話でもないのだ。
生産性抜きに賃金は語れないのではなく、人口増加ではなく人口減少・高齢化を迎えている日本においては国が主導して最低賃金を上げることによって、結果としては生産性が上がるようになる。その例として、イギリスの事例がある。
イギリスでは1999年から2018年まで、毎年平均4.17%も最低賃金が引き上げられ続けました。この間、最低賃金は実に2.2倍になったにもかかわらず、インフレには大きな悪影響もなく、生産性も上昇しています。2018年6月の失業率は4.0%で、1975年以降の最低水準です。1971年から2018年までの平均である7.04%を大きく下回っています。
このように大きく成功しており、お隣の韓国で失敗したのは最低賃金を一気に引き上げたためであると言われている。 *2
そして生産性を上げて賃金を上げなければ、日本においては将来的に確実に増える社会保障費を負担していくことは不可能であるためだ。
今の賃金体系で維持できない雇用、それが仮にマックジョブやコンビニの24時間営業などであるのならば、社会として淘汰して生産性の高い世の中にならないとダメである。
また引き上げ反対論は無知すぎるらしい(笑)
最近は「常識」を訴える人も増えています。「常識的に考えれば、生産性が上がってはじめて最低賃金が上がるのであり、逆ではない」などと主張しています。
「常識的に考える」とは、論理的思考の最大の足かせで、思考停止の代名詞以外の何物でもありません。
で、まぁ論点が違うかというとミスリードだと思う。このブログの著者が引用しているコラムの栗原耕平さんはおそらく日本商工会議所会頭・三村明夫氏の次のことを議論の出発点としている。*3
「最低賃金で生計の全てを賄っている家庭はあまりいないだろう。例えば一家で主婦がパートで働くときに最低賃金の対象になることがある」
昭和や平成の最初のような時代とは現在は違うよねってことをいっているのだ。
日本人は海外に比べて、アルバイト等でもサービス業の過剰なサービスが多いと言われている。それがオ・モ・テ・ナ・シだとかいう人がいるが国力を維持するためには不要であると私は思っている。現在このサービスは多くの場合が生産性とは比例しないからである。
今のサービスのレベルを維持するならば、賃金は上がるべきであるが社会の構造上不可能であり、そこで国が主導して最低賃金を上げて生産性を向上させていくしかないのだ。
また元来日本は、国民生活を維持するためにモノを作り、輸出し、外貨を獲得しなければならない。なぜならば食料は自給することができるとしても、エネルギー(石油等)は海外から輸入しなければならないからだ。
なお生活保護に関しては、最低限度生活ができれば結構なので特段上がる必要性は個人的には感じていない。